2023年4月、神奈川県箱根に行ってきました。
箱根 彫刻の森美術館 THE HAKONE OPEN-AIR MUSEUM
1969年に開館した箱根彫刻の森美術館は、日本初の野外彫刻を中心とした美術館です。
広大な芝生の庭園に近・現代の作品を中心とした彫刻が配置されています。彫刻と周囲の箱根の自然が溶け込み、四季折々違った風景を見ることができます。
本館ギャラリーやピカソ館など室内展示は撮影禁止ですが、屋外彫刻は写真撮影ができます。
屋外展示をいくつか紹介します。
入口から円形広場まで
この日は雨でした。
作品の多くは屋外にあるので、雨の日は傘をさしながらの見学になります。
遠くの山々は霞んで見えませんでしたが、庭園の緑がしっとりときれいに見えました。
樹人(岡本太郎)
入口を入るとまず岡本太郎の彫刻が迎えてくれます。
岡本太郎の作品には「樹」をモチーフにしたものがいくつかあります。
岡本太郎記念館でも「夢の樹」という樹モチーフの作品を見ました。
嘆きの天使(フランソワ=ザビエ、クロード・ラランヌ)
水面に頬を寄せる大きな天使の顔。
その表情は泣いているようにも、かすかに微笑んでいるようにも見えます。
左:眩驚-V 右:風韻(土田隆生)
金と銀の対になった像が目を引きます。
眩驚(左)はシリーズであり、長野や神戸の公園や美術館にも彫刻が設置されているそうです。
人とペガサス(カール・ミレス)
ギリシャ神話の英雄ベレロフォンがペガサスに乗って、怪物キマイラの退治に向かう場面を描いたものです。高く、高く飛ぼうとしている姿がよくわかります。
横たわる像:アーチ状の足(ヘンリー・ムーア)
ヘンリー・ムーアは、20世紀のイギリスを代表する彫刻家です。この彫刻の森美術館では26ものコレクションを所蔵しています。
ポケっと。
アートに包まれながらぽけ~っと過ごす空間「ポケっと。」は、近づいて触ることができる体験型の作品を中心とした休憩のエリアです。
宇宙的色彩空間(松原成夫)
同じ大きさの正方形が虹色に移り変わる色になっています。
枠をくぐり抜けてみたくなるこの作品は、遊具造形としての役割も果たしています。
色合いがとても綺麗なので、雨の中思い思いの場所で
一緒に記念撮影する方が多い作品でした。
ネットの森
山野を歩くヴァン・ゴッホ(オシップ・ザツキン)
木造ドーム「ネットの森」は、中に巨大なハンモックがあり、子供たちが遊べる体験型アート作品です。その前をゴッホが歩いています。
ピカソ館
1984年の開館から319点のピカソコレクションを順次公開し、現在は116点が展示されています。
内部は撮影禁止のため写真はありませんが、絵画、陶芸作品、立体作品など様々な作品があり、見応えがあります。
歩く花(フェルナン・レジェ)
ピカソ館の前には大きな花があります。
堂々と行進しているようなこの像は高さ6メートルもあります。
温泉足湯
ピカソ館から上がったところに歩き疲れた足を癒す源泉掛け流しの足湯があります。
手持ちのタオルがなくとも、オリジナルの足湯タオル(100円)が販売されています。ただ、足湯には屋根がないので、雨の日は使えず残念です。
幸せをよぶシンフォニー彫刻
少し小高い丘の上に建つ塔は、高さが18m、内径が8mあります。
内部は全面に厚さ2、3cmの分厚いステンドグラスがはめ込まれています。圧倒される美しさです。
中央にある螺旋階段を使って、塔の上までのぼることができます。
ステンドグラスを良く見ると車があったり、人がいたり、鳳凰が飛んでいたりと様々な図柄が描かれています。
この日は雨模様で日は出ていませんでしたが、外からの光を受けて幻想的な光景でした。
晴れて日差しがあると、もっとキラキラしているかもしれません。
螺旋階段を登りきると、彫刻の森美術館全体、箱根の山々を見渡せます。
ピカソ館の歩く花がとても小さくみえました。
螺旋階段は狭いので、上り下りに注意が必要です。
緑陰広場
ミス・ブラック・パワー(ニキ・ド・サン・ファール)
鮮やかな色彩で表現されたこの像は、ニキ・ド・サン・ファール代表作である一連の開放的な女性像「ナナ」シリーズのひとつです。
密着Ⅲ(アントニー・ゴームリー)
大地に伏せて手足を精一杯伸ばしたこの像は、作者自身の身体から型を取った作品だそうです。
緑陰広場から本館ギャラリーへ
目玉焼きのオブジェ
雨で濡れていて座れず残念でしたが、目玉焼きのベンチです。
かなり大きいので、何人かで寝そべることもできそうです。
交叉する空間構造(後藤良二)
黒い男性像と赤い女性像が各72体、合計144体の群像が四肢を伸ばし、お互いに手足をつなぎ連なり、群舞しているようになっています。
球体をもった球体(アルナルド・ポモドーロ/写真右)
このブロンズ彫刻の球体がどのような構造になっているのか、どのように作られるのかを室内展示(マルチホール)で詳しく説明していました。とても興味深い展示でした。
16本の回転する曲がった棒(伊藤隆道/写真左)
電気を動力としているそうですが、動きはとても軽やかで、機械的な動きを感じません。
箱根 彫刻の森美術館は、彫刻を良く知らなくても十分に楽しめる美術館でした。
歩きながら自然や彫刻を見て、子供も遊べる体験型作品もあり、疲れたら足湯があり、カフェがあり、お腹が空いたらレストランがありと、大人も子供も一日中楽しめます。
箱根 彫刻の森美術館(公式HP)
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