2025年9月、長崎県 長崎市・島原市へ行って来ました。
出島の歴史
出島は、キリスト教の布教を行っていたポルトガル人を収容する目的で築造され、25人の有力な長崎町人たちの出資によって完成しました。
当初はポルトガル人が居住していましたが、島原の乱をきっかけに追放されます。その後、キリスト教の布教を目的としないオランダ人が移り住み、鎖国時代の約200年間に渡り、日本とヨーロッパをつなぐ唯一の貿易の窓口として経済・文化・学術など、さまざまな交流の拠点として日本の近代化に大きな役割を果たしてきました。

明治以降に周辺の埋め立てが進み、明治37(1904)年の港湾改良工事によって、かつて海に浮かんでいた扇形の姿は失われてしまいました。
その後、出島は大正11(1922)年に国の史跡に指定され、長崎市では昭和26(1951)年度から整備計画が始まりました。史跡内の民有地の公有化や建物の復元などが少しずつ進められ、平成8(1996)年度からは本格的な復元整備事業が始まりました。

平成29(2017)年からは、一般の見学ができるようになりました。
現在も整備は続いており、最終的には四方を水面に囲まれた19世紀初頭の扇形の島を完全に再現することを目指しているそうです。
出島へのアクセスと詳細
現在(2025/09月時点)、出島へは「水門」「表門」の2ヵ所の出入口から入ることが出来ます。
※令和7年3月1日より出島西側の水門入退場口が再開されました
水門
路面電車を利用する場合は、「出島」電停が便利です。下車するとすぐ目の前が「水門」です(徒歩約1分)。

電停からのアクセスがとても良かったので、今回は「水門」から入場し、帰りは「表門」から退場しました。

表門
路線バス「出島」バス停を利用する場合や、大波止・新地中華街・めがね橋方面から来る際は、メインゲートとなる出島表門橋から「表門」のアクセスが便利です。

営業時間
出島の営業時間は8:00〜21:00(最終入場は20:40)です。
「水門」は8:00〜18:00まで開いており、18:00以降は「表門」からの入退場となります。
入場料
今回は「楽天トラベル観光体験 」で販売されている「長崎 出島 入場Eチケット」を事前に購入しました。料金は窓口と同じですが、楽天ポイントも貯めたり使ったりできるのでお得で便利です。
施設サービス
水門側から入ると近くにコインロッカーがあるので、大きな荷物があっても安心です。

出島見学
今回は「水門」から入場し、帰りは「表門」から退場しました。
現在の出島には、復元された建物のほか、明治期に建てられた洋風建築や、幕末期の建物の復元なども点在しており、島全体が歴史資料館のような空間となっています。

当時の生活や貿易の様子を感じられる見どころが多く、見学には十分な時間をとるのがおすすめです。
今回は、その中でも印象に残った場所をいくつかご紹介します。
一番船船頭部屋
オランダ船(一番船)の船長や商館員の住居として使われていた建物です。
1階の土間は倉庫として利用されており、当時の出島で銅や砂糖を計量する際に使われていた天秤などが展示されています。

カピタン部屋
屋根付きの階段が左右に伸びる印象的な建物「カピタン部屋」は、出島で最も大きな建物です。
オランダ商館長の事務所や住居として使われており、当時の出島の中心的な建物だったそうです。

1階は食料や日用品を保管する倉庫として使用されていましたが、現在は展示室として公開されています。
この1階から2階へは直接行き来することができず、2階へは屋根付きの外階段を通って上る構造となっています。

2階は住居兼応接室として使われており、17.5畳の部屋、大広間、15畳の部屋が当時の生活を再現する形で展示されています。
この15畳の部屋は、大きな格子窓のある畳敷きの和室に、洋風の家具や壁紙が調和した独特の造りとなっています。
中央には幕府に献上するオルゴール付きの時計が置かれ、当時の交易文化を感じることができます。

出島で使われている壁紙や襖紙は、木版刷りの「からかみ」と渋紙摺りの「更紗(さらさ)」という日本の伝統的な装飾紙・布模様の技法で作られています。

壁紙の文様はどれも個性的で、見ていて飽きませんでした。
天井のシャンデリアも華やかで、当時の優雅な雰囲気が感じられました。

カピタン部屋の中でもひときわ目を引くのが、35畳もの広さを誇る大広間です。
商館員たちが朝夕の食事を共にした場所でもあり、日本側の役人との応接や饗応の場としても使われていました。

畳敷きの空間にドアがあるという、和洋折衷の造りもユニークです。
「阿蘭陀冬至(オランダ冬至)」と呼ばれるクリスマスの豪華な祝宴風景を再現した展示があり、当時の雰囲気が伝わってきます。

カピタン部屋の先にも見どころが続きます。
銅や砂糖を保管していた蔵が並び、奥には明治時代に建てられた建物もあります。
その中にレストラン(カフェ)があり、食事やお茶を楽しみながらひと休みすることができます。

ミニ出島
こちらは1975年に制作された、出島の15分の1スケール模型です。当時の出島の構成や建物の配置がよく分かり、見学の参考になります。一番右に見える建物が「水門」です。
また、ミニ出島の後ろに見えている薄い緑色の建築は、明治期に建てられた現存する最古のキリスト教(プロテスタント)の神学校である「旧出島神学校」です。

ミニ出島側から見た出島表門橋です。
こちら側にはすでに水路がありますが、今後は19世紀初頭の扇形の島を完全に再現できるよう、四方を水路で囲む整備が進められているそうです。

見どころが多いので、出島専属ガイドによる定時ツアーや音声ガイド(有料)を利用するのも良さそうです。

帰りは「表門」から退場し、西浜町電停まで徒歩で移動しました(約5分)。

出島(公式HP)



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