東京建築祭とは
「東京建築祭」は、東京のさまざまな建築を巡りながら、街の歴史や文化、人々の営みに触れられる都市型イベントです。2024年にスタートし、年々エリアを拡大。2026年は渋谷エリアも加わり、過去最多となる151件の建築が参加しています。
イベント期間中は、普段は入れない建物の内部公開をはじめ、建築資料の展示、ガイドツアー、各種イベントなども開催。建築にまつわる知られざるエピソードに触れられるのも魅力です。
建築好きの方はもちろん、専門知識がなくても気軽に楽しめる内容となっており、街歩きをしながら東京の新たな魅力を発見できます。
「東京建築祭 2026」は、2026年5月16日(土)から24日(日)まで開催され、特別公開は5月23日(土)・24日(日)の2日間で行われました。
特別展示は、通常公開されている施設内で建築資料や関連展示を特別に公開する企画です。
普段から見学できる場所ではありますが、こうしたイベントをきっかけに、以前から気になっていた場所を訪れる良い機会にもなり、通常とは異なる展示も楽しめます。

今回は特別展示中の明治生命館を訪れました。
重要文化財 明治生命館
明治生命館 は通常から無料・事前申込不要で一般公開されていますが、今回の東京建築祭では「特別展示」として参加しており、貴重な建築資料の展示が行われていました。

アクセス
明治生命館は、二重橋前駅(千代田線3番直結)、または東京駅(JR東京駅丸の内南口)、有楽町駅(JR有楽町駅国際フォーラム口)から約5分の皇居外苑のすぐそばにあります。
内堀通り沿いに建つ明治生命館(1934年竣工)は、巨大なコリント式の列柱が印象的な建築です。設計は、東京美術学校(現・東京藝術大学)教授としても活躍した建築家・岡田信一郎が手掛けました。
内堀を背にすると写真に収まりきらないほどの迫力があり、古典主義建築ならではの重厚な雰囲気を感じられます。1997年には、昭和の建造物として初めて国の重要文化財に指定されました。

二重橋前駅(千代田線1番出口)を出ると、建物の横側に出ます。
目の前には迫力ある外観が広がり、その存在感に圧倒されます。今回はこの南玄関から入りました。


スマートフォンを利用した音声ガイドも用意されているので、イヤホンを持参するとより快適に見学できます。
内観(1階)
大きな柱が立ち並ぶ1階の大空間は、かつて店頭営業室として使われていた場所です。外観と同様に重厚な雰囲気があり、天井は中央部分がガラス張り、その周囲は八角形の装飾で美しく彩られています。
現在は一般公開エリアとして、中央部分にカフェが設けられ、その周囲が展示エリアとして活用されています。また、1階にある個室は保険相談窓口として現在も使用されており、こちらは非公開エリアとなっています。

明治安田CAFE 丸の内
中央部分のカフェは、「明治安田CAFE 丸の内」。コーヒー・紅茶などのドリンクをはじめ、スイーツ、軽食、アフタヌーンティーなどを楽しむことができます。

国の重要文化財の中にあるカフェ。
重厚で落ち着いた空間は、ホテルのラウンジのような高級感がありました。

ロビー書記台
展示エリアには、当時の店頭営業室ロビーで使用されていた書記台が2つあります。
柱や壁と同じ大理石が使われており、台座には美しい渦巻文様の装飾が施されています。

アンモナイト
展示エリアの床は、美しく組み合わされた赤色石灰岩とクリーム色の大理石が使われています。
赤色石灰岩の中にアンモナイトの化石も見つけることができました。

アンモナイトをはじめ、さまざまな化石が含まれているそうです。
なかなか見つけられませんでしたが、写真は今回見つけることができたアンモナイトの化石です。

手洗所
見学者や保険相談で訪れた方が利用できるお手洗いです。
重厚感のある入口とは対照的に、内部は現代的で機能的なデザインに改修されています。

特別展示:三菱二号館復元フォトモ
三菱二号館は1895年に完成した丸の内初期のオフィスビルで、旧明治生命の社屋としても使われていました。
この三菱二号館は1930年に取り壊され、その跡地に現在の明治生命館が建設されました。

階段(2階へ)
2階へはエレベーターでも上がれますが、今回は皇居側に面した階段を利用しました。
クリーム色の大理石を使った階段や壁は重厚感があります。窓の格子には美しい装飾が施されており、細部まで見応えがありました。

窓を外側から見ると、壁面のラインは左右対称にデザインされており、窓枠にも美しい装飾が施されています。

2階回廊・諸室
2階は回廊形式になっており、内側は吹き抜けになっているため、1階のカフェを見下ろすことができます。
回廊の外側には執務室や応接室などが配置されています。

回廊に巡らされている手すりはブロンズ製です。
この手すりは戦時中に金属回収されましたが、昭和31年の改修工事の際に当初と同じ形式に復元されました。


2階には複数の部屋がありますが、今回はその一部をご紹介します。
各部屋は木材が多く使われていて、1階とは雰囲気が違いました。
南西隅応接室
こちらは、昭和初期に流行したスパニッシュ様式を取り入れた応接室です。
明治生命館の家具は、日本のアールデコの先駆者といわれる 梶田恵がデザインし、梶田工房で制作されたものです。

食堂
こちらは、かつて役員食堂として使われていた部屋です。室内は明るく華やかな色調でまとめられており、長いテーブルと椅子が整然と並ぶ様子から、当時の格式ある雰囲気が伝わってきます。

部屋の中央にある天井の石膏レリーフには、ぶどうと蔦の模様があしらわれており、優雅な雰囲気を感じさせます。

食堂の隣には控室があり、地下の厨房とつながる料理用昇降機(小型エレベーター)が設置されています。当時は、この昇降機を使って厨房で作られた料理が2階の食堂まで運ばれていたそうです。

会議室
こちらは、他の部屋よりも壁や調度品の色味が落ち着いており、重厚で厳格な雰囲気が漂う会議室です。
終戦後、明治生命館は連合国軍に接収されましたが、この部屋はその期間中、対日理事会の会議室として使用されていたそうです。

デザイン

明治生命館には、館内のいたるところに植物をモチーフとした装飾が見られます。
吹き抜け上部の天井は漆喰と石膏で造られており、トップライト(天窓)を囲むように八角形のくぼみが並んでいます。その中には、花をモチーフにしたロゼット(丸い花飾り)が配置されています。

吹き抜けには、イオニア式を基調とした26本の大理石張りの角柱が並んでいます。柱頭には渦巻模様や植物文様のレリーフが施され、重厚な空間に華やかさを添えています。

通気口には、魚の鱗を思わせる装飾格子が使われており、実用的な設備にも美しいデザインが取り入れられています。

床には、立体感のある幾何学的な寄木模様が施されており、思わず目を引かれました

非常口の形も現代のものとは異なり、どこか懐かしさを感じるデザインでした。

メールシュート
2階にはメールシュートが残されていました。
これは各階から郵便物を直接投函できる設備で、アメリカのカットラー社製のものです。当時は館内の各階に設置され、郵便物を効率よく集配できるようになっていました。

1階には集合郵便箱が設けられており、各階のメールシュートから投函された郵便物がここに集められていました。現在ではあまり見られない当時の先進的な設備です。

東玄関
東玄関から外へ出ると、左右対称の美しいアーチが目を引きます。
アーチの奥には趣のあるエレベーターが設けられ、歴史的建築ならではの落ち着いた雰囲気を感じました。

まとめ
明治生命館は、重厚な外観だけでなく、館内の装飾や調度品にも見どころが詰まった建築でした。

植物をモチーフにした意匠や大理石、寄木細工の床など、細部までこだわり抜かれた空間は見応え十分です。
閉館後は鉄製の扉が閉められます。扉にもロゼット(丸い花飾り)があしらわれており、館内の装飾と調和した美しいデザインとなっています。

無料で見学できるので、丸の内散策の際にはぜひ立ち寄ってみてください。

明治生命館(公式HP)
東京建築祭2027 開催決定
今回参加してとても楽しめた東京建築祭ですが、早くも2027年の開催が決定しています。

開催期間は 2027年5月15日(土)~5月23日(日) の9日間。


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